だから映画を観る。~映画『コーダ あいのうた』『ゲームボーイズ THE MOVIE 僕らの恋のかたち』

宛名のない手紙ほど、厄介なものはない。

映画『コーダ あいのうた』
聴覚障害のある家族、唯一の健聴者が音楽に目覚めて…ってあらすじを聞いて、どこかで聞いたことあるな?と思ったら、2014年の映画『エール!』のハリウッド・リメイク作品だった。リメイク元は観てない。公開時はタイトルから面白くなさそうで観に行かなかった。今作はいろんなところから評判が聞こえて来たので、最初は観る気なかったけど、観てみた。面白かった。
やはり音楽の力はすごい。キャラクターも立ってる。父母の関係や、謎に頼れる兄貴もよかった。シング・ストリートのアイツは、なぜあんな特徴的なキスをするのだろうか。練習シーンは否応なくアゲられる。面白い。
しかし、才能持ちすぎじゃね?おめぇポッター家かよ、って邪念がオレの心から見え隠れしてしまった。もっと尺とったドラマとかでもいい気がした。
ちなみに劇場にゃオレ一人でした。1月21日公開の新作なのに。


映画『ゲームボーイズ THE MOVIE 僕らの恋のかたち』
いつもイオンシネマ江別で映画観てるんだけど、前々から予告編が流れてた謎映画。調べてみるとフィリピンのBLドラマから派生された映画らしい。2022年1月21日公開なのに、北海道ではイオンシネマ江別でしか上映されてない。うーん。そそられる。そして何気なくググってみたらIMDBで評価8/10だと?こりゃ面白いに違いない!!!…と、ちょっと期待して観に行った。

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正直、オレは苦手な映画だった。オレの性的嗜好のせいでフラットな評価ができない気がするが、(オレは)映画としては退屈だった。主人公たちはイチャイチャして、世間との意識の差に悩んで、新たなる道へ進んでいく。身内に傷つけられるが、同志でユナイトして意見を呈する姿はとても感動的だった。
ドラマの延長線上の作品なので、キャラクター紹介などは一切ない。雰囲気と文脈で読み取るしかない。そりゃドラマを観てないオレが悪いので、あーだこーだいう気はない。でも、なんでそんなに主人公がめちゃくちゃ甘やかされてるのかが、分からなかった。
前述したように、性的嗜好というのは少々厄介だ。自分が異性愛者なので、このような感想になっているのではないか。問自答してしまった。すべては理解できない方々の恋愛模様だ。しかし、オレは分かりたい。彼らの世界を覗いてみたい。だから映画を観る。

ちなみに劇場にゃオレ一人でした。1月21日公開の新作なのに。

イオンシネマ江別、大丈夫?

三日坊主〜映画『マークスマン』と『クライマッチョ』

まだギリギリ三日坊主になる?

 

映画『マークスマン』

リーアム・ニーソン主演という事実のみで何となく雰囲気がわかり観る気にさせる。けっこうな歳のはずだけど、ニーソンさんは頑張っている。

監督のロバート・ロレンツクリント・イーストウッド監督とよく仕事してるイメージ。監督作は前作の映画『人生の特等席』のみみたい。自分は未見。

思った以上に面白かった!100点満点だったら80点くらい。60〜70点くらいを想定して観に行ったからめちゃくちゃ得した気分になれる。不思議。

物語はよくあるメキシコ麻薬カルテルもの。なんか敵役のボスっぽい風格のヤツがドヤ顔で最前線立ってるのに、なぜか銃弾に当たらないとか、気になるけど、まあ、60〜70点の映画なら仕方ない。

ところがどっこい。終盤、敵役が泣かせてくる。ニーソンさんもすごい。最後に彼に言う一言は、本当にグッときた。

 

映画『クライ・マッチョ』

クリント・イーストウッド監督の最新作。イーストウッドは90歳超えらしいぜ。マジかよ。頑張りすぎだろ。

クリント・イーストウッド監督は近年のはほぼほぼ観ている。毎回違った角度の感慨を与えてくれるから、楽しみにしている。

そして、イーストウッド監督の最新作。ビックリするほど面白くなかった。何も感慨がなかった。

ジジィになったイーストウッドが野暮用でメキシコ旅して、ちょっと歳下の女性とイイ仲になって…ってだけ。何も起きなさすぎて、何か起きるんじゃないか!?と終始気を張ってたため、寝る暇がなかった。

ある意味、傑作。

 

三日坊主くらいは続けたい〜映画『ラストナイト・イン・ソーホー』

ブログを書くと決めて、2日目。すでに面倒臭い。

せめて三日坊主くらいは続けたい。

 

映画『ラストナイト・イン・ソーホー』は賛否両論がある映画だ。そして、私は非側の意見だ。

鑑賞中、居心地が悪くなり、ムズムズして今すぐ映画館から逃げ出したい気分になった。映画はつまらなくなかった。お話もいいし、ビジュアルも、音楽も、演技もいい。なぜここまで気持ち悪くなったのか。観た時点では、不快感だけ残り、理由は分からなかった。ただひたすらに生理的に嫌いな映画だった。

その理由については、戸田真琴という方が書かれた記事が1番腑に落ちた。インターネットアーカイブに落ちてたので、リンク貼っとく。

https://web.archive.org/web/20211220235147/https://tvbros.jp/hit/2021/12/18/23205/

おおむね戸田真琴さんに同意だ。特に終盤で、亡霊が助けを求めるくだりには、気持ち悪すぎた。

 

しかし、この映画は面白くなかったのだろうか。

ここ数日、そんなことを考えていた。

 

映画館という場所は事故が起こる場所だ。これまで何度意図せずに観た映画から衝撃を受け、自分の価値観が揺らいだだろうか。特に私はその事故を期待して、映画館に足を運んでいるフシがある。映画は劇薬になりえる。

そういう面では、今作は劇薬だったのは間違いない。あのオシャレなビジュアルからは想像がつかないほど、キツい映画だったし、色々と考えさせられた映画だった。悪い意味で。

 

今作について、ラジオで友人数名と話していたとき、思いがけず長尺になってしまった。(ラジオ内では、話に収拾がつかなくなってしまって殆どカットしてしまった)

今作の宣伝は適切だったのだろうか?…という点に疑問が残る。光の点滅に注釈入れるくらいなんだから、少しくらい予防線があってもいいのではないだろうか。それに対して、前述したように衝撃を与えるためには隠した方がいいのか?

正直、この件については腑に落ちていない。

今年くらいはブログを書こう~映画『ポルカ・キング』

なんか最近安住してしまって、ブログやらTwitterやらから足が遠のいている。

読んではいるのだが、ブログ書いたりつぶやいたりしていない。

特に映画の感想などは、全く書いていない。なんだかんだ映画は観ているのに。映画のフリーペーパー作ってるのに。

 

そんなこんなで、映画の感想ブログを再開しましょう。

とかいいつつ、キーボード叩いてたら、すげぇ手が疲れるのな!なまってんなー!

 

2022年一本目は2017年のジャック・ブラック主演のNetflix映画『ポルカ・キング』でした。

ただただ明るそうな映画が観たくて、流れてきた映画をテキトーにポチった。ジャック・ブラックが主演なら、ぜったい重たい映画ではない自信がある。

読みどおり明るい映画で、ジャック・ブラック演じる主人公が出資金詐欺を繰り返すんだけど、全く憎めない。悪いことしてるんだけど、なぜか憎らしくないんだよね。悪意がないのかな?奥さんを喜ばせるために、賄賂渡してミスコンの投票操作したり、なんか観てて微笑ましい。

そして案の定、悪事はバレて、捕まってしまうんだけど、そこからが強烈。特にエンドロールが最高。それみて、この映画を作った人の意図がなんかわかった。

映画『街の上で』『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』『スタイル・ウォーズStyle Wars』『ジェントルメン』『AVA/エヴァ』

長い連休が終わり、いかがお過ごしでしょうか。
私は5月1日にスガラムルディVol.17が発行され、いろんなところに配りに行ったりして、ドタバタやってたら、いつの間にか終わってた感じです。先週土曜パレシネに出たので、今号のPR活動は、これで終わりかな。とかいいつつ、先週は最新号の打ち合わせしたんで、止まってられませんね。

YouTubeでやってたラジオ番組「おだつメンズラジオ」が終わって、次のラジオ番組「怪電波フロムスガラムルディ」を制作してんだけど、なかなか収録できずに今に至ります。今週木曜に収録予定なので、今週末には公開できるかな。
Apple PodcastSpotifyにありますので、よければ登録を。

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そんな中で映画も観てたので、つれづれと。

映画『街の上で』
今泉力哉監督の最新作。東京の下北沢という街を舞台に、人々が交差する様子を描く。今泉監督の過去作『サッドティー』を思い返す、ザ集大成といった作品。ある意味、過去の焼き回しとも取れる。
彼女にふられて、ボンヤリと生きる主人公は、なんか楽しそうに思えたけど、寄る辺なさも感じた。あのフリー期の始まりの、ワクワク感?というか、なんかまた世の中がちょっと変わって見える感じ。なんなんだろね。うまく描写されていた。
主人公が愛らしくて、「え?あの成田凌だよ??追わなくていいの?」ってくだりは笑ってしまった。成田凌の役名覚えてないけど。
正直、長かった。
映画館で彼女と今作を観たとき、偶然おふたろうも一緒に観てたり、近場に札幌のヒップホップクルー・中華一番のドギードックさんが居てやかましかったり、映画館を出て街を歩いてるとまた別の知人にあったり。なんか札幌の"街の上で"を体感しているような気分になった。映画館で観てよかったな。

映画『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン
勉強しに映画を観ているわけじゃないが、映画でちょっと学ぶときがある。例えば映画『あん』だと、樹木希林があんこ作る話か…と何も期待せずに観に行ったら、予想以上に食らって、ハンセン病について考えるようになって、少し勉強したり。
今作もそんな感じだった。
ジェームス・ブラウンはまあまあ知ってて、楽曲重視のパーティ映画なんだろうなーと思ってた。ところがどっこい公民権運動の話だった。
ジェイムズ・ブラウンのTVショーでのやり取りが面白くて、すげぇ人だなと実感した。
といいつつ今作はJB大絶賛の話だけじゃなくて、ニクソン大統領を支持してた時期の話や、金払いが悪かった話など。善悪、両方のJBを描いてて良かった。

映画『スタイル・ウォーズStyle Wars』
HIPHOP文化の黎明期を映し出した映画は何本かあるけど、その中の一本。名前だけしか知らなくて今回初見だった。
めっちゃ面白い。グラフィティが主軸に置かれているけど、ブレイクダンスなどなども扱われている。単なる街の流行でしかないんだけど、それが人々の手によって形づかれていく様子が描かれている。
誰かが図ってやってたワケじゃなくて、ただただ若者たちが好きなことを好きにやってるだけ。カッコよすぎる。先生なんていなくて、みんな手探り。誰かが偉いわけでもなく、カッコよくてイケてれば、それだけで一目置かれる。
やっぱ、オレはストリートカルチャーが大好きなんだなと実感した。

映画『ジェントルメン』
良くも悪くもガイ・リッチーだなといった塩梅。観てて、意味わかんなくなって、置いてかれた。

映画『AVA/エヴァ
暗殺者って素性明かさないもんだと思ってたんだけど、母親兄弟元カレまでガンガン明かしてく主人公にびっくり。
元カレ・COMMONも、元カノの妹に手を出すなんて、すげぇヤツだな。

映画『21ブリッジ』『騙し絵の牙』『隔たる世界の2人』

スガラムルディを作ってるときは、なんか後ろめたくて映画を観ることが出来なくなる。
入稿して開放された今、反動でこれまでのストレスを解消するかのように映画を観ている。

映画『21ブリッジ』
オレは映画を観る上で“お話”や“キャラクター”を重視する傾向にある。しかし、今作の“お話”や“キャラクター”はありふれたもの。よくあるストーリー、よくあるマクガフィン、よくあるキャラクター。
でも、オレがそれら以上に重視する点もある。それは“キラリと光る何か”だ。今作はそれがあった。

いい塩梅のクライムアクション。特に銃撃戦のシーンが最高だった。序盤の突入シーンからの逃走劇で、ガッツリ心が掴まれた。
2人いる犯人でも、個々でアクションの作法が異なるらしい。そんなアクション作法なんか詳しくないオレでも、この二人は同じ犯人だけど、なんか動きが違うな…と思えた。詳しくないオレでも一見して分かるなんてすごい。
こういうキラリと光る何かを持つ映画を映画館で見るのが、とても好きだ。得した気分になる。得した気分ついでに、こういうクライムアクションを掘っていきたい所存だ。


映画『騙し絵の牙』
何度予告編を観せられたことか。正直うざかった。吉田大八監督じゃなかったら絶対観てなかった。
しかし、映画は観てよかった。さすが吉田大八監督、変な映画も撮るけど、観て損した気分にはなったことない。
とてもテンポの良い話運び、キャストも豪華で演技も上手い。そりゃ見入ってしまう。どんどん時間が過ぎていく。眠たくなる暇さえ与えない。
「騙し合いバトル!」とか宣伝され、騙し騙されの話だけど、そんなの重要じゃない。ただただ映画に身を任せて愉しめばいい。


映画『隔たる世界の2人』
Netflixオリジナルの短編映画。町山さんが紹介してたので観てみた。
昨日はBLM運動の発端となったジョージ・フロイドさん殺害事件の判決があった。殺害した元警官デレク・ショービンは無罪を主張したが、被告の訴えを退け有罪が確定した。そんな日に観る映画としては抜群だった。
イムループモノ。黒人青年が目覚めて家を出て、白人警官にイチャモンをつけられ、殺され、同じ朝に戻る…を何度も何度も繰り返す。
家から出なくても、人当たりよく接しても、対話を試みても、何度も何度も殺される。
主人公は何度も殺されるが、助かるために何度も何度も試みる。決して諦めない。決められたレールを変えるために。
これはフィクションじゃない。現実世界でも同じだ。

オレは、アメリカに住んでいる黒人にはなれない。絶対に。
でも、この30分ちょっとの時間で、そのアメリカに住んでいる黒人の方々が感じている息苦しさ・怖さを経験することができた気がする。

映画『あのこは貴族』

思ってた映画と、ちょっと違った。
正直、オレのわからない世界だと思ってしまった。

様々な格差がある。今作は、その格差の中でも身分格差を描いていた。
「貴族」と言っても、一筋縄にゃいかない。

主人公・華子は開業医の二代目。東京育ちのボンボン。めちゃくちゃ金持ちだけど、思ったより家は庶民的。台所でジャムを頬張る姿が物語る。
主人公の結婚相手になる弁護士・幸一郎は、由緒正しき家の生まれで、実家は貿易を営んでいる。親は政治家、彼も結婚相手も政治家になるんだろう。実家はお屋敷、半端なくデカイ。みるからに華子より金持ちだ。
そして地方出身者の美紀。東京に憧れて、必死に勉強して東京の大学に入学するも途中退学してしまう。

この三層の人々で物語が進んでいく。
淡々と続く話は、起伏がなく、ある意味リアルだった。
劇的な変化がなく、続いていく日常。
壁を壊して、爽快な話にすることもできただろう。
でも、そうしなかったのはある意味、大人だと思った。


オレは「東京」を知らない。「東京」を知った状態で、映画『あのこは貴族』を観たらどう感じただろうか。
いや。本当の貴族を観たことがあったら、本当の格差をまざまざと見せつけられたら、本当の格差を実感したらどう思っただろうか。

オレは札幌で生まれて、大学は室蘭に行った。東京は遊びに行くくらい。
中高の友人で、東京の大学に行ったやつは結構いる。
オレは「東京に行きたかったか?」と聞かれると、今は「行きたかった」と答えるだろう。正直、後悔している。
でも、あのころのオレに聞くと「行きたくない」と答えただろう。あのころのオレは今振り返ると色々なものに縛られていた。

母の姉にあたる叔母は、東京の方と結婚して、東京に引っ越した。東京に行き、様々なものを見てきた人だ。
子供の頃からの夢は「富士山が見える家に住むこと」で、今はめちゃくちゃ晴れた日にかろうじて遠くに映る富士山が見える家に住んでいる。夢は叶ったかなと、はにかみながら話してくれた。

オレが高校を卒業して、大学に行かずに浪人生と称してブラブラすることが決まったとき。
叔母さんが「1年間、こっち(東京)に来て、勉強してみないかい?」と声をかけてくれた。
母親は、その叔母とオレが仲良くしているのを快く思ってなかった。(まあ母と叔母は昔から仲良くなかったんだけど)
あの一言はとても嬉しかった。行きたいなと思った。しかし、母親が嫌な顔をし、父親も病気してる中で、実家を離れて叔母の元で勉強ずくめの日々を送る勇気はなかった。
あのとき、叔母さんはオレに東京を見せたかったんだ。
あのとき、東京を見てたら何かが変わっただろうか。

母親は、実の姉との格差を感じてたんだと思う。
そして、あっちに行こうとしたオレを引き止めたかったんだ。
叔母は、東京で様々な格差を感じてたんだと思う。
そして、こっちにオレを来させたかったんだ。

そう考えると、叔母も相当な苦労しているはずだ。
田舎の自転車屋の娘が、東京に出て一流企業の役員の奥さんだ。
相当な苦労だと思う。

映画を一本観て、ひさびさに叔母さんと話したいなと思った。