映画『21ブリッジ』『騙し絵の牙』『隔たる世界の2人』

スガラムルディを作ってるときは、なんか後ろめたくて映画を観ることが出来なくなる。
入稿して開放された今、反動でこれまでのストレスを解消するかのように映画を観ている。

映画『21ブリッジ』
オレは映画を観る上で“お話”や“キャラクター”を重視する傾向にある。しかし、今作の“お話”や“キャラクター”はありふれたもの。よくあるストーリー、よくあるマクガフィン、よくあるキャラクター。
でも、オレがそれら以上に重視する点もある。それは“キラリと光る何か”だ。今作はそれがあった。

いい塩梅のクライムアクション。特に銃撃戦のシーンが最高だった。序盤の突入シーンからの逃走劇で、ガッツリ心が掴まれた。
2人いる犯人でも、個々でアクションの作法が異なるらしい。そんなアクション作法なんか詳しくないオレでも、この二人は同じ犯人だけど、なんか動きが違うな…と思えた。詳しくないオレでも一見して分かるなんてすごい。
こういうキラリと光る何かを持つ映画を映画館で見るのが、とても好きだ。得した気分になる。得した気分ついでに、こういうクライムアクションを掘っていきたい所存だ。


映画『騙し絵の牙』
何度予告編を観せられたことか。正直うざかった。吉田大八監督じゃなかったら絶対観てなかった。
しかし、映画は観てよかった。さすが吉田大八監督、変な映画も撮るけど、観て損した気分にはなったことない。
とてもテンポの良い話運び、キャストも豪華で演技も上手い。そりゃ見入ってしまう。どんどん時間が過ぎていく。眠たくなる暇さえ与えない。
「騙し合いバトル!」とか宣伝され、騙し騙されの話だけど、そんなの重要じゃない。ただただ映画に身を任せて愉しめばいい。


映画『隔たる世界の2人』
Netflixオリジナルの短編映画。町山さんが紹介してたので観てみた。
昨日はBLM運動の発端となったジョージ・フロイドさん殺害事件の判決があった。殺害した元警官デレク・ショービンは無罪を主張したが、被告の訴えを退け有罪が確定した。そんな日に観る映画としては抜群だった。
イムループモノ。黒人青年が目覚めて家を出て、白人警官にイチャモンをつけられ、殺され、同じ朝に戻る…を何度も何度も繰り返す。
家から出なくても、人当たりよく接しても、対話を試みても、何度も何度も殺される。
主人公は何度も殺されるが、助かるために何度も何度も試みる。決して諦めない。決められたレールを変えるために。
これはフィクションじゃない。現実世界でも同じだ。

オレは、アメリカに住んでいる黒人にはなれない。絶対に。
でも、この30分ちょっとの時間で、そのアメリカに住んでいる黒人の方々が感じている息苦しさ・怖さを経験することができた気がする。