映画『恋は雨上がりのように』

オレは晴れ男だ。なんかやるつーと見事に晴れるし、雨降ってても外に出ると雨があがる。
昨日仕事終わって、帰路は小雨混じりだったけど、ひさびさに走りに出た。
バッ…と雨があがって、とても気持ちのいい夕焼けが現れた。
恋すんのもいいよなって思えた。

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久々に映画『恋は雨上がりのように』を再見した。
オレの名前をちょい変えたら大泉洋になるし、道産子だし、親近感がある。つっても、どうでしょうは好きじゃない。小松菜奈は、個性的でめちゃくちゃ好きな女優だ。オレも、あの冷ややかな目で蔑まれたい。
つっても、その二人が恋愛関係になる恋愛映画なんて、単なるオッサンの妄想だろとか思ってたけど、映画を観終わる頃には、めちゃくちゃ泣いてた。


今作は、恋愛をダシに使ってる。
恋愛なんかどーでもよくて、本質は”自分の何かが止まってる人間が再起動する”映画だ。
タマフル的に言えば、ワンスアゲイン映画。

オレもクヨクヨするタイプだ。よくよく止まってる。古くは、小学生時代から。
今思えば、あんときはザ・不登校だった。
朝8時から始まる約30分間のアニメ『キテレツ大百科』が大好きで、学校のチャイムがなる8時半までエンディングを噛みしめるように観ていた。キテレツのテーマソングは全て大好きだ。
そっからはNHK教育テレビに移って、がんこちゃんで和んで、ストレッチマンモッコリに関心して、エイゴリアンに度肝ぬかれて、さわやか3組観てた。自室のテレビデオで。
あのころの逃避先はテレビくらいしかなかった。

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映画の序盤は、小松菜奈演じる主人公・橘あきらが何故店長(大泉洋)が好きになったのかが描かれる。
それは顔が好みとか、誘い方が上手いとか、大人の魅力があるとかじゃない。
橘あきらは陸上に全力を注いでいたが、とあるキッカケで走れなくなり、自分の情熱が止まってしまう。そのときに何気ない優しさで救ってくれたのが店長だった。そしてバイトを始める。
ここまでで1/3。

オレも何気ない優しさに救われる。
そして、その優しさは一生忘れることはないだろう。
親が死んだり、親戚トラブルあったりで、人間が嫌で嫌で仕方なかったハタチのころだった。だけど、オレはバイトに救われた。
テレビじゃなかった。


橘あきらが店長を好きになった経緯が描かれたのち、お話の軸は店長に移る。
店長も”何かが止まっていた人間”だった。

中盤で、店長が旧友と出会い飲み語るシーンがある。
店長の旧友を務めるのが、迷作『ホコリと幻想』の戸次重幸。大泉洋と同じチームナックスの俳優。
別れるシーンで「オレたちは大人じゃない。同級生だ。」と告げるシゲ。
自分の中の何かがザワつきはじめる。
ここまでで2/3。


映画は、何かが動き出す予感が充満している。
橘あきらが、店長がどうなるのか。
残りの1/3はぜひ観て欲しい。


オレは、あの頃、ずーっと止まってた。
でも、止まってた時間は無駄じゃない。
それは言い切れる。

あの頃に感じたフラストレーション、育まれた偏屈な性格、大好きになった音楽。
全てが今に生きている。