映画『とんかつDJアゲ太郎』

原作未読。レコードは好きだし、DJについてもまあまあ知識がある程度。

伊勢谷友介がハンパなくカッコいいし、北村匠海がいい感じでキュートで、まだ観てられる。しかし、脚本も演出もダサすぎて焦る。途中で流れるブレイクビーツはカッコいい。スタッフロールみたらorigamiがかかわってて、そりゃカッコいいはずだ。楽曲はディスコばっか。この時期にやってて選曲に新しさはない。80sリバイバルに乗り遅れた感じバリバリ。フロア全員が同じ踊りを始めたときは観てるコッチが恥ずかしくなってしまった。

オレはこんな映画よりも、漫画「少年インザフッド」の劇場版を早く観たい。

なにかひとつアツくなれるもの~映画『ミッドナイトスワン』を観て

内田英治監督の映画『ミッドナイトスワン』を観た。
物語の概要は他サイトに任せるとして、感じたことを書いていく。

https://eiga.com/movie/92113/

今作は草なぎ剛演じるトランスジェンダーの主人公・凪沙と、新人俳優・服部樹咲が演じるネグレクトを受けている少女・イチカの二人の物語が進む。
LGBTQAが社会的注目を受けてる中、トランスジェンダーを描くことにより、そっち方面に突き進むこともできたのに、それとは違う映画だった。
"なにかひとつアツくなれるもの"を手に入れた人間の話だと感じた。

イチカはネグレクトにあい、自分の気持ちを上手く表現できない。
最初はしゃべることもできず。不快感を感じたときは、とりあえず相手に椅子を投げつけ、抱えきれなくなったときは自傷行為に走る。
誇張されて描かれてはいるが、不満を持ったとき、どう表現すればいいのか分からないのは同じだ。
椅子を投げつけるイチカを見たとき、オレはグッジョブと親指を立てずにいられない。
そして自らを痛めつける彼女を見たとき、自分に近い何かを感じてただけに、得も言われぬ気持ちになる。

そしてバレエという、彼女がアツくなれるものを見つける。
それから物語は一転する。
着々と実力をつけるイチカ、バレエを習うことにより人と交わり変わっていく環境、徐々に口数が多くなるイチカ、人とのふれあい、そして恋心を覚える。

社会人を数年やってて、オレに映画があって本当によかったなと心底思う。映画がなきゃスガラムルディなんてやってないし、知り合わなかった人たちも大勢いるだろう。
もし映画がなきゃオレはどうなってたんだろうか。
ただただ日々の仕事をこなして、すり減っていく自分しか想像できない。部屋にこもって、日々の不満をためて、SNSに誹謗中傷を書き並べてたかもしれない。
しかし今オレには映画があって、映画観て、感動して、何かを学んで、人とふれあっている。オレは半径1mくらいだけでもいいから、映画で学んだ"もう少しより良い世界"に変えていきたいと考えている。

なにかひとつアツくなれるものがあるか?
それはゲームでもテレビでも音楽でも映画でもバレエでもいい。
心底惚れこんで、影響されて、それによって外の世界を知ることができるんだ。

今作からは、そんなことを受け取った。

しかし今作はそれだけではない。
今挙げた内容なんて、30%にも満たない。
ここから予想だにしない展開が待っている。
観たあと誰かに優しくなれる、そんな映画だ。

気になる点は多々ある。
イチカの成長っぷりはビックリするほど凄まじい。そんな一朝一夕に身になるもんかよとか、同級生の展開はもっと描いてもいいのではとか思うが、そんなんどうでもいいんだ。
そんな些細なことをぶっ飛ばしてくれるほど、今作は魅力的なナニカを持っている。

ぜひ観てほしいけど、札幌は今日(11月12日)で上映終了。マジかー!!!

アウトプット

いろいろあって、アウトプットを沢山やらなきゃいけないことになった。文字書くことを色々やってるけど、頭から文字が溢れ出るタイプじゃないので、癖づけてかないと今後ヤバいなと思いブログを書いている。心配事は尽きないけど、なんとかなんだろ…という気概で、乗り切るしかない。

気になっていることを、ツラツラと綴っていって、後々振り返って纏めて記事にできりゃめっけもんかな。

 

最近はボラットの続編を観た。前作は同性愛ネタがメインだったけど、今回は女性差別ネタが多かった。ダークすぎて笑って良いのか分からなくなる。これが笑えるのはオレが男性だからなのだろうか。女性の立場だと嫌悪感が強くなりすぎて笑えなくなるのではないだろうか。そんなことを考えた。もーちょい深く考えれば何かが見えてきそうだ。観たつっても途中で眠たくなって止めてしまった。続きを見なきゃいけないな。

 

ここまでで378文字。スガラだと1つの記事は最低600字程度なので、このくらいじゃ足りないな。やるからにはちょっくらルールを設けたほうが練習になりそうだ。せめて一つの話題で1000字くらいは書ける様にしなきゃな。

 

1000字くらいで書けるように…と言えば。DJ松永さんがなんかの連載に穴開けて大変だったーとアクションおよびセッション22の中で取り上げられてた。そのとき、チキさんは「2000字くらいのエッセイは、かなり時間がかかった。評論だったら短時間で書けるのに。」的なこと言ってた。書くためのコツとして、気がついたことをメモに取るのが大事よーと言ってたな。オレはメモ取るクセがない。ぼんやり考えてるけど、残したりしてない。

 

最近考えてることは、「オレが私生活でやってることは課外活動なんだから楽しくあるべき」ってことだ。今やっててオレは楽しいか?参加してる人たちは楽しくなってるか?みたいなことを考えた。

楽しいことはある。しかし、楽しくないこともある。楽しくないことに、どう折り合いをつけるのか。物事をどう思うかは、人それぞれだ。オレが楽しめ!と言っても楽しくないなら仕方がない。しかし、楽しめるように雰囲気を作るとか。そういうことなら出来るかもしれない。そんな面白い人間じゃないので、無理かもしれないけど。

人と話してると、オレは普通だなぁと感じることが多々ある。話すこともそんな面白くない。なんだかんだ安パイばっか選んできた人生だし。でも、オレがやってきたことは変なこと・面白いことが多いと自負している。

 

こんな内省的なことばかり書いてて、女々しいな。だけど、オレはなるべく内省的な事柄をエンタメに昇華したい。これについては次回詳しく書こうかな。

 

映画『バトル・ロワイアル』

「この国はもうダメになってしまいました」
ビートたけしこと、キタノ先生のセリフが印象的。

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ニュースは積極的に摂取しようと思っているが、摂取すれば摂取するほどドンドン疲弊していってしまう。
投票する前から結果がわかってる選挙。おもねってばっかのメディア。「プロパガンダ」とは、まさにこのこと。
教えてほしいことには答えない政治家。教えてほしいことを答えない政治家が、国のトップに立つ国家。そんな国家を支持する国民。
そんな国民はどこにいるん?それは作られた虚像じゃねぇの?って勘ぐってしまうくらい。しかし選挙で選ばれた人が選んでるんだから文句はつけられない。
まあ、愚痴は置いといて、映画の感想。

深作欣二監督作品は、あんま観たことない。今調べたら仁義なき戦いシリーズを何本か観たくらい。
県警対組織暴力」や「蒲田行進曲」、「いつかギラギラする日」、「黒蜥蜴」、「仁義の墓場」などなど、観てみたい作品が多い。いつか観る日が来るのだろうか。
映画『バトル・ロワイアル』はオレが10歳のときに公開された映画。姉がちょうど中学生くらいで、ジャスト世代だった。オレのところには「暴力描写がひどいらしいよ」「すごい怖いらしいよ」って噂話が回ってて、暴力とか恐怖とか大嫌いだったオレは100%観ないと思ってた。でも20年たったら「悪魔のいけにえ」に思いを馳せてたりしてるから、人生ってのはよくわからないものだ。
Netflixに流れてたので鑑賞。原作は未読。

終始漂うダークな雰囲気が印象的。その中でギラついた目で生死をかけて戦う若者は魅力的だった。ハンガー・ゲームメイズ・ランナーなど、若者が殺し合うような映画は何本も観てるけど、その中では一番おもしろかった。
あとキャストが若い。藤原竜也に、山本太郎柴咲コウ栗山千明などなど。今も活躍している俳優さん(と政治家)ばかり。特に栗山千明の演技はすごくて、鬼気迫るものがあった。

面白かったけど、想像以上のものは観れなかった。
個人的には、キタノ先生が暴れまわる映画が観たかった。

映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』

毎年いろんな映画を観て、記録して、自分の中の順位をつける。
そして毎年一番好きな映画を決めるけど、その後になって思い返すのはベストじゃなくて、5位から10位くらいに位置してる映画だったりする。
でも、後々になって、響いてくる映画。そんな映画が一番好きな映画なんだと思う。

映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』は、その年のベスト映画ではない。
でも、ぼんやりと頭の片隅にあって、デイヴィス(ジェイク・ジレンホール)は今何やってんだろうか?クリス(ジュダ・ルイス)は彼氏できたかな?…なんて存在しないキャラクターの人生を考える。
なぜ、オレの中でこんなに響いてるのか。よくわからない。
なんで響いたのか、確認したくて、改めて観た。

 

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物語はデイヴィス(ジェイク・ジレンホール)と妻のジュリア(ヘザー・リンド)が交通事故にあうことから始まる。
まず交通事故までの流れがすごくて、話がトントン拍子に進む。生き物は思ってるより簡単に死ぬし、唐突に起きる。そのあっけなさが上手く表現できている。

妻が亡くなり、軽傷を負ったがピンピンしてるデイヴィス。実はそこまで妻のことを愛していなかった。ポイッと放り出された彼は、悲しみも苦痛も感じない。トイレで泣こうとするけど、フリだけで泣くこともできない。
そしらぬ顔して、いつもどおり会社に行って仕事しようとするけど、周りは変な顔で見てくる。

30年間生きてきて、様々な死に触れてきた。あんま好きじゃなかったけど、なんだかんだスゲェ影響されてた父親。だいすきで毎週末のように遊びに行ってたおじいちゃん。生まれた頃からずっと連れ添ってくれた三毛猫のちゃむちゃん、拾ってきた黒猫のエイジ。他にも従兄弟やおじさん・おばさん。

最近、愛猫のカールが亡くなった。中学くらいのときから飼ってた猫だ。
人見知りが激しくて、気分屋で、すぐ爪を立てるようなヤツだった。
でも、オレの顔を見たら飛びついてきて、歩けないくらいスリスリしてくる。オレが座ってると猫じゃらしを咥えて持ってきて、遊べとせがむ。もう結構な歳だったのに。
めちゃくちゃ愛されてた。そしてオレもめちゃくちゃ愛してた。

 

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今作の原題はDemolitionだ。和訳すると解体。
デイヴィスは、いつもは気にならなかったことが目に入り、気にするようになる。
空港に集う人のスーツケースの中身、トイレのドアが軋む音、デスクのパソコン、水漏れしてて妻から修理を頼まれてた冷蔵庫。
その中身がどうなってるのか、解体したい衝動にかられ、ついついぶっ壊してしまう。
そして、破壊衝動および破壊行動はドンドンエスカレートしていく。家具やテレビはもちろん。しまいにはブルドーザーを購入して、住んでた家まで木っ端微塵に破壊する。

オレは、破壊衝動が少ない方だ。
酔っ払って誰かを殴ってる人とか、ムカついて壁殴る人とか、あんま理解できない。
正直、ハタから見ててバカみたいだなぁと思う。周りが壊れる(傷つく)だけじゃん。
ストレス発散したいなら、走ればいいのに。笑

でも、このデイヴィスの破壊衝動は、ちょっとわかる気がする。
たぶん彼は解らないんだ。自分のことも、周りのことも、亡くなった妻のことも。
そして彼は解りたいんだ。自分のことを、周りのことを、亡くなった妻のことを。
だから彼は解体するんだ。目の前のものを。妻はもういないから。

この映画は、誰かが亡くなって宙ぶらりんになった感情を、とても上手に表現している。

前述したとおり、愛猫が亡くなった。
いろいろな思い出が思い返されるけど泣いていない。亡くなってとても悲しい。
でも、なんか変な気分なんだ。

 

そして物語はクライマックスに至る。
デイヴィスは家を解体していく中で、タンスから思わぬものを発見する。そして隠されていた妻の行動を知る。
ついに気持ちの整理がついたデイヴィスは、妻の父親(義父)と対峙する。彼はどうなるのか。

海岸線沿いでトボトボ歩くデイヴィス。
周りの子供たちにつられて、走り出すところで映画が終わる。

彼の人生がようやく走り始めた。

映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』

とても前評判がよく、とっても期待して観に行ってきた。
しかし。オレが期待しすぎちゃった結果、そこまでハマらなかった。

アメリカ青春映画というジャンルがあるけど、すげぇノれるのとノレないのがある。
どちらかというと、ノレない方だった。

まずは「まあ、よくできた映画ですなぁ」という感想。オレは"よくできた映画"よりも"いびつな映画"のほうが好きだ。
アメリカ青春映画の流れは宇多丸さんが言ってるから、そっちを参照して欲しいけど、LGBTQやら色んな方面に配慮して確かに偉い。現代版にアップデートされた青春映画だ。しかし、毒っ気が少ない。

たぶん、ノレない理由としては、「お前ら十二分にイケてるやん」ってこと。
2人でワイワイやってて十分楽しそうだし、他の人ともすぐにワイワイやれてて、普通にめちゃくちゃ周りから好かれてる。
オレなら、まずパーティにたどり着かないし、行けたとしても端っこで黙々と酒のんで泥酔→翌日の卒業式はガッツリ二日酔いだ。

本当にハブられ、周囲から嫌われているのであれば、パーティ会場に着いた途端に嫌な目線を浴びせられるだろうし、話しかけても無視されるだろう。
そういう描写が一瞬でもあればよかったのに。

好きだったのは、女性版ジョナ・ヒルことビーニー・フェルドスタイン演じるモリーイカしたワードセンス。
ファイン先生のイケイケな感じも好きだったし。謎のピザ配達員(マイク・オブライエン)のキャラも良かった。

映画『殺し屋1』

三池崇史監督が好きで、劇場公開されると観に行くけど、過去作をガッツリ追ったことはない。三池監督ほど、多作な監督だと過去作も多い。
2015年の『極道大戦争』が大好きで、めちゃくちゃ盛り上がってたら、有識者の方々が「○○は観た?」とか「○○のほうがオススメだよ」とアドバイスをくれる。
殺し屋1』はその中の一本にあった気がする。まあアドバイスもらったから観てるわけじゃないけど。

強烈だけど、愛嬌がある映画だった。
浅野忠信が演じる垣原のヘンテコな性癖と、そこから生まれたイチへの片思いが面白い。イチを演じた大森南朋は、若くて丸っこくて可愛かった。最近大森南朋のドラマやってるらしいね。歳を重ねても大森南朋の雰囲気は変わってない。シワが増えて一層愛嬌が出てる。イチが成長したら、今の大森南朋みたいな感じなのかな。
一番すごかったのがジジイ。最初のキャバクラシーンでは、単なるニヤニヤしてる雑魚キャラかなーと思ってたら、どんどんどんどん迫力が増してく。よくよく顔をみたら塚本晋也でガッテン承知の助。終盤での服脱ぐ展開は『極道大戦争』感があった。個人的には『極道大戦争』のカエルくんのほうがバカっぽくて好きだな。

こうやって(良くも悪くも)印象に残る映画を作れる監督はすごい。
三池崇史監督はすごい。好きだ。